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劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス』を哲学する

劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス』がなかなかよくできた映画でした。

正直2期はパワーダウン感がいなめず残念な仕上がりでしたよね。

 

2期は脚本家の変更がおおきかったかな。劇場版は脚本家が虚淵 玄に戻りました。

期待大で観た劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス』でしたが、満足度は...

 

う~ん78点

 

映画としては及第点ギリギリ。アニメの劇場版なのでしょうがないんですけど、話が前進しない。『PSYCHO-PASS サイコパス』の世界観とかもっと掘り下げれば面白くなりそうなところはあるのに、そこには触れず上っ面をなぞった感じでした。

ただ、これはアニメの劇場版の宿命でしょう。本編に触れないように話を作るのが条件ですのでしょうがないのかな...

 

狡噛慎也ともっとバチバチにやり合うのかなと思いきやすぐに共闘。魅力的な悪役不在でエンターテインメントとしては80点届かず...(槙島聖護の中二感が魅力的過ぎました)

今回はシビュラシステムの本質について新たな角度で問題提起がなされました。その点は評価したいです。

 

シビュラシステムのガバガバ感が説得力を増す

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(C)サイコパス製作委員会

シビュラシステムに賛成ですか?反対ですか?

 

『PSYCHO-PASS サイコパス』の根底に流れているのはシビュラシステムが善か悪かという問題でしょう。

1期からガバガバだったシビュラシステムは劇場版でも健在でした。『PSYCHO-PASS 』に関しては、シビュラシステムがガバガバすぎると指摘している人もいます。

ただ、シュビラシステムが本当の意味で完全無欠なものだったらそもそもプロットが成立しません。ガバガバのシビュラにツッコむのがこの作品の醍醐味です。

シビュラシステムが不完全なのは当然といえば当然。なぜならシュビラは人間の脳の集合体でしかないからです。

人間が大多数集まっても正解なんて出せるわけもないし、そもそも正解がある事の方が少ない。

今回もシビュラがやることには「う~ん」という感じ。

そういう考えさせられるところがイイ!!

 

シビュラシステムの問題点は監視社会にあるのではない

サイコパスという数値を監視することで人間が管理されている世界の異常さみたいなものがアニメ初期にはあったんですが劇場版はその先へ。

 

アニメ1期ではディストピアをどう壊すのかという方向ではなく見守るという方向に着地したのは中々挑戦的な試みだったと思います。

わたしもこんなシステムに管理された社会は嫌だなと思っていたんですが、それは相手が機械だったらの話。

結局シビュラシステムは人間の意志の集合体だったわけで...そういうマシーンに対する嫌悪みたいなものはそもそも間違いだったということになります。

 

ではいったいなにがシビュラシステムをこれほどまでに嫌悪させるのか。そこを明確に示したのが今回の劇場版でした。

 

自由意志はシビュラシステムに敗北したのか

自由な人間の選択を奪う。これが最高に気持ち悪い。

ただ、そこがこの作品のテーマではなかったです。

 

今回シビュラシステムのない世界は荒廃し秩序がない。そこに対し秩序をもたらすためシビュラシステムが導入される。実際シビュラシステムは平和をもたらしました。

悔しいけどシビュラシステムは平和をもたらしてしまった...

そこでなんでここまで平和をもたらすシビュラシステムに嫌悪感を抱いてしまうのか。ここをよく考えてみたのですが、シビュラの発言で一気に謎が解けました。

 

「最大多数の最大幸福」

シビュラはジェレミ・ベンサムもびっくりの超功利主義者だったんですね。

なんでサイコパスを測定し監視しているのか。これは結局大多数の人間を守るためにほかならないんです。

だからこそシビュラの有用性を感じつつも嫌悪感を抱いてしまう。

大多数の人間の幸福、そして安全のために取り除かれるマイノリティ。

これがやはり問題なんですね。

多くの人の幸福のために個人を殺してもいいのかというのが今回のテーマだったのではないでしょうか。

 

劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス』は現代社会を映す鏡

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(C)サイコパス製作委員会

『PSYCHO-PASS サイコパス』は2116年の未来ということで描かれます。ただ、想像された未来のことなのかというと疑問です。シビュラシステムのようなものはまだありませんが...

わたしがブログを書いていて思うのが、大多数の意見が少数派を駆逐しつつあるということです。

ネットはすぐに炎上するようになりました。大多数にとって気に入らない意見はすぐに拡散され叩かれます。(わたしはまだ経験ありませんが)

 

それこそシビュラのように大多数が塊となって押し寄せます。そしてお前は間違っていると押し付けてきます。

 

でも本当にこれでいいのか。

これはネットに限った話ではないです。

大多数のために個人の意思や尊厳は踏みにじられていいのか。本当の正義とは大多数のためのものなのか。

もう一度考えてみる必要があると思います。

そして正論、正しい事の怖さを認識する必要があります。

なんだか最近一方的な意見が多くみられるようになりました。

わたしたちはもっと多様性を受け入れていくべきではないでしょうか。

物事にはいろいろな見方があり、ある一方の見方では善であっても他方では悪になりえるのだということを心に留めておく必要があると思います。

 

物語は最後に「平和をもたらしたシビュラが大多数に支持され選挙に勝つ」というシーンで終わります。平和のその裏で殺戮が行われたことを考えるとなんともいえない気持ちになります。大多数や正義が決して正しいわけではなく、時に暴力性をもって少数派を襲うことを知っておくべきですね。

深い...深いですな。

 

劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス』の感想

いいテーマなんですけどもうちょっとエンタメの要素が欲しかったですね。

作品全体に英語で中二要素をちりばめていましたが如何せん伝わりづらかった。

わたしのような小難しそうな事好きの人は本当に小難しいことはわからないよ。

 

Production I.Gが制作ということもあって映像美は素晴らしかったです。極上の映像体験ありがとうございます。

まだまだ世界観が広がりそうですし、『PSYCHO-PASS 』もっと見たいです。

ぜひ3期を期待したいところ。

脚本家は絶対虚淵 玄でお願いします!!

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